コリントの信徒への手紙Ⅱ13:1-13            2018.1.21 
テーマ:信仰を持って生きているかどうか反省しなさい(5)
 パウロは、コリントの教会には、2回の訪問(1回目:使徒言行録18:1-17、1年6カ月滞在、2回目:同20:1-3 3ケ月滞在)、手紙は4通(第一の手紙の前に既に一通、第一の手紙の後には「涙の書簡」)送られている。特に第一の手紙では、相談を受けた内容には、正面から回答し、厳しい言葉を送られた。そのこともあって、この第Ⅱの手紙は、自己弁明の内容が各所に認められ、誤解の無いよう、パウロの愛情から発したものであることの理解を求める気持ちがうかがえる。パウロのコリントの人々への並々ならぬ深い気持、そしてパウロの人間性が垣間見える。
 パウロの厳しい内容の手紙は、神から遣わされた使徒職としての使命の自覚、重い責任に忠実でありたい強い気持ち、この一点のみにより書かれたものであった。これこそパウロの栄光であった。それ故、神とパウロ自身の関係では、はっきり言えばコリントの人々の評価は、どうでも良いものであった。
長い手紙の締め括りの祈りが、コリント第Ⅱの手紙13章11-13節 にある。パウロの愛に満ちた、万感の願いが込められている。「終わりに、兄弟たち、喜びなさい。完全な者になりなさい。励まし合いなさい。思いを一つにしなさい。平和を保ちなさい。そうすれば、愛と平和の神があなたがたと共にいてくださいます。聖なる口づけによって互いに挨拶を交わしなさい。すべての聖なる者があなたがたによろしくとのことです。主イエス・キリストの恵み、神の愛、聖霊の交わりが、あなたがた一同と共にあるように。」 特に「思いを一つにしなさい」の言葉は、第一の手紙の最初に登場した教会に対し勧めたもので、この内容を手紙の結びとしている。ここにパウロのコリント教会への深い願いが凝縮しているように思う。心を一つにし、互いに協力し合って信仰生活を送りなさい、の強いメッセージであり、これは、コリントの教会のみならず、全ての教会、集会、そしてキリスト者一人ひとりに送られた戒めとして受け止めたい。
🔲まとめとして 
 コリントの教会の混乱を目の当たりにし、いろいろな質問を受けたパウロは、「あなた方は、果たして、本当に信仰を持って生きているかどうか、自分自身を反省しなさい」(5)と、使徒の立場から厳しい言葉を発した。愛のある人だから、いい加減でなく、真正面から発した。それと言うのも、パウロには、パウロを通して、神が語らせたというパウロ自身の確信があったからであろう。パウロは、使徒として命を賭け、愛するコリントの人々へ厳しい言葉を発した。ここに、私は、神から遣わされた使徒として真摯に行動する使パウロの並々ならない覚悟が、伝わってくる。
「本当に信仰を持って生きているかどうか、反省しなさい」、この言葉をコリントの人々だけでなく、私たち一人ひとりに発せられた言葉として受け止めたい。