テトスへの手紙3:1-15       2021.3.21

                  西澤 正文
テーマ:神は、御自分の憐れみによって、私たちを救ってくださいました。(5)
 キリスト教に出会う前、自分の努力により人生を切り開いて行こう、頼れるものは自分自身の頑張りしかない、失敗や躓きに遭えば、自分の頑張り、努力が足りない、と受け止める人が多いと思います。3章でパウロは、このような考えとは真逆の教えを示しています。
「わたしたちの救い主である神の慈しみと、人間に対する愛とが現れたときに、神は、わたしたちが行った義の業によってではなく、御自分の憐れみによって、私たちを救ってくだしました。」(4-5)
 この御言葉は、信仰のない人にとってショックです。自分の限界、小ささをに気付かせ、立ち止まって自分の存在を考えさせます。人生そのものもは、自分で得たもの、勝ち取ったものでなく、神から一方的に与えられたものと言っています。
 マタイ福音書25章には、天国のたとえ話しがあります。「ある人が旅行に出かけるとき、僕たちを呼んで、自分の財産を預けた。それぞれの力に応じて、一人には五タラントン、一人には二タラントン、もう一人には一タラントンを預けて旅に出かけた。早速、五タラントン預かった者は出て行き、それで商売をして、ほかに五タラントンをもうけた。 ……  しかし、一タラントン預かった者は、出て行って穴を掘り、主人の金を隠しておいた。まず、五タラントン預かった者が進み出て、ほかの五タラントンを差し出して言った。『御主人様、五タラントンお預けになりましたが、御覧ください。ほかに五タラントンもうけました。』 主人は言った。『忠実な良い僕だ。よくやった。お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ。』 …… ところで、一タラントン預かった者も進み出て言った。『御主人様、あなたは蒔かない所から刈り取り、散らさない所からかき集められる厳しい方だと知っていましたので、 恐ろしくなり、出かけて行って、あなたのタラントン

 

 

を地の中に隠しておきました。御覧ください。これがあなたのお金です。』  主人は答えた。『怠け者の悪い僕だ。わたしが蒔かない所から刈り取り、散らさない所からかき集めることを知っていたのか。 それなら、わたしの金を銀行に入れておくべきであった。そうしておけば、帰って来たとき、利息付きで返してもらえたのに。 さあ、そのタラントンをこの男から取り上げて、十タラントン持っている者に与えよ だれでも持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる。 この役に立たない僕を外の暗闇に追い出せ。そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。』」
 タラントとは、英語ではタレントと言い、才能という意味です。今日では日常用途として使われている。俳優などは「タレントさん」と言われている。ローマの通貨単位であり、現代において1タラントは、数千万円の価値があると言われています。
 この天国のたとえのように、タラントンとは、神が我々の能力に応じて与えたものです。 従って私たちは、自分の能力に応じた使命、役割を如何に生かしていくことが出来るか、と受け止めなければなりません。たとえの中で、1タラント与えられた者は、自分には全然才能がない、と決めつけ、あきらめています。しかし、私たちは、そもそも大きな勘違いをしています。人生は、そもそも神様から貸し与えられたものです。 
頭の良い・悪いという他人と比較するのではなく、神様はその人その人に与えられたものをどう生かし、磨き上げるかを願っています。私たちは、与えられたものを大事にし、自分の才能を生かし切ることです。自分の枠を超えおごり高ぶることは許されず、また、卑下することも許されません。
▢むすびとして
神様からいただいた自分自身のタラント・才能は何か、常に神と向き合う中で示され、最大限生かし切ることが大切と思います。