テモテへの手紙Ⅰ5:1-25  2021.1.24

                  西澤 正文

 パウロは、若いテモテに向かい説教者として、教会・集会をまとめるために良好な人間関係を築くよう心掛けを伝えました。 一般の兄弟姉妹、寡婦、長老夫々の人との対応についてです。

 その中で特に目を引くのは、寡婦の対応です。やもめを大切に、もし、子、孫がいるなら、子、孫に「家族を大切にせよ」と諭し、また、親に恩返しすることを学ばせなさい、とやもめを大切するよう話しています。その一方で、放縦な生活をするやもめは、生きていても死んでいるのと同じである、と厳しい見方もしています。

 今日の5章のテーマは、「先ずは足元から愛を注ぎなさい」(Ⅰ6節)です。家庭内にやもめがいれば、先ず、家庭内をしっかり納めなさい。他人の世話をしようと考える前に、先ずは自分の足元を固めなさい。そうすれば、教会は他のやもめの世話ができる。足元を固めることが一番、それから身近な人々のことに心配りをしなさいと説いています。

聖書には、寡婦に対して特に同情した記述があります。どの国民も同様で、ユダヤ人の間

にあってもこの考えは始めから存在していました。

・「神は聖なる宮にいます。みなしごの父となり やもめの訴えを取り上げてくださいました。」(詩68:6)

・「孤児と寡婦の権利を守り、寄留者を愛して食物と衣服を与えられる。」(申命記10:18)

イエスの死後、エルサレムの教会が成立しました。

 

 

成立当初、執事を選んで教会内をまとめていました。

・「そのころ、弟子の数が増えてきて、ギリシャ語を話すユダヤ人から、ヘブライ語を話すユダヤ人に対して苦情が出た。それは、日々の分配のことで、仲間のやもめたちが軽んじられていたからである。」(使徒言行録6:1)

 夫に先立たれた婦人は、収入を得るすべがなく、当時はもっとも貧しい階層の人々でした。そして教会は、みんながささげた物でその人たちに食料を分配していました。ところがそこに、ギリシャ語を話すユダヤ人からヘブライ語を話すユダヤ人に対して、公平に食料が分けられていないという苦情が出たと言います。信徒の人数が増えてくると、なかなか行き届かない点も出てくるものです。人間にとって、食べ物の確保は生活の基本であり訴えも必死であることが伝わってきます。

▢むすびとして

 多くの兄弟姉妹が集まる教会内を良い状態に保つのは、いつの時も、どの教会も大小様々な課題を抱えています。その様な中にあって、その秘訣は、ただ一つ、主を仲立ちとして兄弟姉妹の交わりをする事です。兄弟姉妹の関係は主が中心に臨まれ、主を介しての兄弟姉妹でいることが大切です。「主にあって敬愛する兄弟姉妹」と捉えることです。人間の思いでなく、主の御心、主の思いはどこにあるのかを常に求め、祈りをもって交わることです。