21章1-40      2020.2.16 

                          西澤正文

テーマ:誓願者と一緒に身を清めてもらえば皆に分かります(24) 

 この章はエルサレムへ戻る旅です。ティルスの港に着くと弟子たちが家族皆で歓待し、家族総出で見送り別れを惜しみ、浜辺で立ったままでなく、膝ま付いて祈り、別れを惜しむその光景が目に浮かびます。ティルスの人たちの愛情の深さに感動します、頭が下がります。 

 ティルスからプレトマスへ、そしてカイサリアへ。そこで預言する人・アガボが「パウロは、エルサレムで自分の帯で縛られ、異邦人に引き渡される」と予言しました。この預言を聞いた同行者は、パウロにエルサレムには行かないよう伝えました。しかしパウロは「主イエスの名のためならば縛られることばかりか、死ぬことをも覚悟している」と答えました。パウロの意志は、神の恵みの福音を力強く証する任務を果たしさえすれば命すらほしくないものでした。

 パウロはエルサレム到着後、ヤコブを訪ねました。そこに集まった長老たちに挨拶し、また、神が異邦人の中で、自分の奉仕を通し行われたことを詳しく報告しました。聞いた者は皆、神を賛美しました。しかしその後、パウロに「子供に割礼をするな、習慣に従うな」とモーセから離れるよう教えている、との噂が立っている。あなたがエルサレムに居れば混乱のもとになるので、誓願を立てた4人と共に一緒に誓願し、聖別された者として神に身を捧げる儀式を行い、しかも4人の費用もパウロが負担し、律法を守り正しく歩ん 

 

でいることを公に証ししなさい、と進言され、その通りにしました。パウロは、何故、進言を受け入れたのか。誤解に基づく無益な争いをしないためです。 

 清めの7日間が終わろうとしていた時、アジア州らやって来たユダヤ人が、群衆を扇動し、パウロを捕らえました。エルサレム中が混乱状態になったため、治安を守る千人隊長が動く事態となりました。主はパウロを助けるために千人隊長を動かされたのです。パウロは捉えられ、尋問されましたが、群衆の叫び声が騒々しく、千人隊長は、パウロを兵営の中へ連れて行くよう命じました。 

 パウロは兵営の入り口で「ひと言話をしていいですか」とギリシャ語で問うと、千人隊長から許可が下り、階段に上り、群衆に親近感のあるヘブライ語で弁明を始めました。ピンチの状態の中でチャンスが与えられたのです。聖霊の働きによりパウロは守られていることを思います。聖霊の働きは、人知では及びもつかないもの、神によって為されます。 

■むすびとして 

パウロのように、自分に頼らず、神に信頼を置き歩む時、人からの進言を受け入れる柔軟さ、突然の神の保護(千人隊長との出会い)、そしてとっさの知恵(一緒に誓願を立てなさい、ひと言弁明させてください)が与えられるのだと信じます。パウロの場合、身に起こったひとつひとつの出来事が、やがてローマでも福音を伝えて主をあかしする布石となっている。私たちの目には見えなくても、主はいつも御心にそって、私たちを導かれる方であることを心に留めたいです。