ヨハネによる福音書8:1~59 2022.9.4 西澤 正文
テーマ:罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい。(7)
律法学者、ファリサイ派の人たちが、鬼の首でも取ったかのように勝ち誇り、姦通の現場で捕らえられた女を連れて来て真ん中に立たせました。真ん中とは、民がイエスの教えを聞こうと、神殿の境内に腰を下ろしていた場所の真ん中です。女は現場で捕らえられ、何も言い訳はできません。旧約聖書に「人の妻と姦淫する者、すなわち隣人の妻と姦淫する者は男も女も共に死刑に処せられる」(レビ記20:10)殺される恐怖心、恥かしさで心身共に凍り付いた状態でしょう。
律法学者達は「この女は姦通をしている時に捕まりました。こういう女は石で撃ち殺せと、モーセは律法の中で命じていますが、どう考えますか」 イエスは、このような事をする律法学者たちの狙いは十分承知済みで、かがみ込も指で地面に何かを書き始めました。律法学者たちは、しつこく質問を繰り返した時、イエスは「あなたたちの中で罪を犯したこのない者が、まず、この女に石を投げよ」と応答しました。
イエスの応答は、絶妙なタイミングでした。そして再び地面に書き続け、律法学者たちの反応
を待たれました。この間は、女を吊し上げた人達に他人を責める自分自身に罪があるかどうか顧みさせたのです。
すると一人去り、また、一人去り目の前に残った人は女だけとなりました。見上げればすぐ分かるのに、イエスは敢えて女にお聞きした。「婦人よ、あの人たちはどこにいるのか。誰も罪に定めなかったのか」 イエスの「婦人よ」の声掛けにより、女はどれ程安心したのでしょうか。イエスはどんな人も慈しみの心で接します。
しかし、最後ははっきりと伝えました。「これからはもう罪を犯さないように」 イエスは、罪は罪、それを認めなさい。そして、今後再び犯さないように、と励まし背中を押して送りだしました。これほどの大きな励ましはないと思います。婦人は感激に震え、イエスにお会いできたことを深く感謝したことでしょう。
(まとめ)
罪の赦しの福音の見本とも言うべき内容です。イエスのみが罪なき人で女に石を投げる資格がありすが、その権利を用いず、女を赦し、再び罪を犯さないよう励まされた。イエスの愛の深さに驚くばかりです。