ヨハネによる福音書6:1~71       2022.8.21  西澤 正文

テーマ: わたしだ。恐れることはない。(20)

 ガリラヤ湖に面する山に座り、5千人の人々に食べ物を与え終え、夕方になった弟子たちは湖畔に下りて行った。向こう岸のカファルナウムへ行こうと舟に乗ったが、辺りが暗くなり、イエスもいない。強い風が吹き湖は荒れだした。そこは、岸から4.6Km~5.6Km離れた所だった。

 そんな時、イエスが湖上を歩いて近づいてこられるのを見て恐れた。昼間、5千人に与えられたパンの奇跡を目の前で拝見してから数時間後、イエスに対する畏れがまだ強く心の残っていたこともあり、『幽霊』と思ったのかもしれません。

 その時イエスが「わたしだ。恐れることはない。」(20)と言われました。弟子たちは、湖の上、小舟がゆらゆら揺れ心許ない状況なため、不安の世界へ送り出された心境であったでしょう。イエスが幽霊に見えるのは弟子たちの本当の気持であったと思います。パンの世界で感動した世界から一気に不安の世界に投げ出された状況となりました。

 これが私たちの現実の世界を示していると言えます。聖書を読んでいる時、また、聖書講話等で耳を傾けている時、喜びに満たされ充実し高揚した気持ちになります。しかし、一歩外に出れば、金や力、地位、肩書が幅を利かす世界が待っています。

 

 

 今、暗い湖上で強い風を受けゆらゆら揺れる小舟の上で感じるのは恐怖しかありません。そんな時「わたしだ。恐れることはない。」と言うイエスの言葉が耳に入れば、一瞬の内に、恐れが喜びに変わります。安堵します。

 イエスの一言の言葉「わたしだ。恐れることはない。」を思い出すことにより、困難な、苦しい、又不安な状況から救い出され、心の中が平安に満たされる世界に招かれます。実際、イエスの死後、あちらこちらの土地を訪れ、イエスの御業、御言葉を証しし続けたパウロを始め、ペトロなどは、「わたしだ。恐れることはない。」の言葉を思い出し、色々な苦難を乗り越えて歩まれた、そう信じます。

 わたしたちも、普段の生活の中で、心配事や不安、体調不良の時など、「わたしだ。恐れることはない。」、このイエスの言葉を思い出し、慰めを与えられ、不安を乗り越えていきましょう。これが出来るのも、イエス・キリストを信じるクリスチャンの特権ではないか、と思います。

▢むすびとして

 日々の生活の中で、「わたしだ、恐れることはない」と言えることは、神、イエスから与えられた恵みです。遠慮せず、この恵みを口にして、苦しみや不安で暗い気持ちにならず、「いつも喜んでいなさい」の御言葉通りの人になって生活していきましょう。

 この機会に「わたしだ、恐れることはない」この言葉をしっかり覚えたいと思います。