27章1-27      2012.4.12

 西澤正文

 テーマ:皆さん、元気を出しなさい。私は神を信じています。私に告げられたことはその通りになります。(25)

  パウロは数名の囚人と共に、皇帝直属部隊の百人隊長・ユリウスに引き渡され、ローマへ向けて船出しました。 

 囚人の一人であるパウロは、ローマへ向かい皇帝から裁判・判決を受けるため身柄を拘束されている。そのパウロが、百卒長に、冬の季節に地中海を航海し続けることは危険と発言しました。しかし、船長・船主は自分達の儲け、この世の利益を優先した。船長、船主は、海の事情は人に言われなくても十分わかっているが、良心が曇り、命の安全よりも金儲けの方を優先しました。百卒長は、船長、船主の意見を採用した。この世に気持ちが移ると、人の心は、神から離れることは24,25章に登場した総督二人フェリクスとフェストゥスの行動から学びました。 

間もなく暴風に見舞われ、流れに任せ荒海を漂うしか為す術はありませでした。エウラキロンの強さは誰よりも熟知している船長、船主だったが、利益を優先したことを後悔しつつ荒れ狂う海を見詰めるしかなかったであろう。

 そんな中、パウロは船員の中に立ち言った「皆さん、私の言った通りにクレタ島から急いで船出しなければこんなことにはならなかった。今見なさんに提言します。元気を出しなさい。だれ一人、 

 命を失う人はいません。私が仕え、礼拝している神の天使が、昨夜、私のそばに立ち『恐れるな。あなたは皇帝の前に立たなければならない。だから、神が一緒に航海しているすべての人を、あなた(パウロ)に任せてくださったのだ』と。ですから、皆さん、元気を出しなさい。私は神を信じているものです。私に告げられたことは、全くその通りになるのです。私たちは今後必ずどこかの島に打ち上げられるはずです。」 

助かる望みが消え失せようとしている時、囚人の身であるパウロ、死が待ち受け不安があるパウロが、「皆さん、元気を出しなさい」と言われた。この世の人には、到底真似できない行動、発言です。 

 パウロは、どうして望みもなくなった時にも望みを持ち得たのでしょうか? 暴風のど真ん中で、神のみ使いの言葉を聞いたからです。それで人々に元気を出しなさいと言えたのである。このことは、どんな状況の中にあっても、語り掛けてくださる天からの声に耳を傾け続けることの大切さ、このことを私達に示しています。 

むすびとして 

主に全てを委ねる人は、自分の置かれた危機的な状況を越え、ただ主のみを仰ぎ声なきか細い御声を聞き分けることができます。私も、暴風に行く手を阻まれ、命の危険にさらされた中にあっても、周りの人々を勇気付ける心にゆとりを持つことのできる者でありたい。