ルカによる福音書1:46~80 2024.5.12
小田弘平
イエスの母となったマリアは天使ガブリエルから「あなたは男の子を産む、その子をイエスと名付けなさい。その子は偉大な人となり、いと高き方の子と言われる」と言われた。このときマリアは主への賛美をこころから高らかに賛美した。「わたしの魂は主をあがめ、わたしの霊は救い主である神を喜びたたえます。身分の低い、この主のはしためにも 目を留めてくださったからです。今から後、いつの世の人も、わたしは幸いな者というでしょう。力ある方が、わたしに偉大なことをなさいましたから。その御名は尊く、その憐れみは代々に限りなく、主を畏れる者に及びます。」
マリアはどのような人だったろうか。心からへりくだって神を求める女性ではなかったか。それにしても、マリアはなんと素直に神を賛美することか。私はなぜかこのように素直に神を賛美できない、賛美する気持ちを邪魔する心がある。これが私の罪かと思う。その罪のためにイエスはこの世に生まれ、十字架にかけられ、そして復活されたのだ。
マリアの賛歌の後半は「権力ある者をその座から引き下ろし、身分の低い者を高く上げ、飢えた人を良い物で満たし富める者を空腹のまま追い返されます」と続く。これはイエスの生涯そのものだ。
57節以下はイエスの先駆者となるヨハネの誕生について記している。ヨハネの父ザカリアは聖霊に満たされ預言した。「(わが子)お前はいと高き方の預言者と呼ばれる。主に先立って行き、その道を整え、主の民に罪の赦しによる救いを知らせる。神の憐れみはあけぼのの光が(暗闇を生きる)我らの道を照らし、我らを平和の道に導く」。事実ヨハネは「悔い改めよ、天の国は近づいた」と叫び主イエスの先駆者となった。しかし現実は厳しい。なんとヨハネは権力欲に満ちた罪人ヘロデに殺されたのだ、それだけではない、「天の国は近づいた」とヨハネが叫んだ主イエスはイエスが愛してやまなかった民衆に殺された。
誕生から死までヨハネと主イエスは地上での生涯を共にした。しかし思いがけないことが起きた。天の神は主イエスを復活されたのだ。これは先に御国に先駆けしたヨハネにとってこの上ない喜びとなった。そのヨハネは荒れ野で先駆者として呼び出されるまで荒れ野で神によって徹底的に鍛えられた。
私たちはこのことを心しておきたい。私たちの人生の困難、苦しみ、試練は神に用いられるための荒れ野の鍛錬だ。先輩がヨハネだ。しかし単独の試練ではない。イエスが共に歩んでくださっている。これはルカによる福音書の著者ルカの師パウロも味わった試練だ。ルカもこのことを伝えたいのだ。私たちも聖霊の助けを頂きながら信仰の生涯を生き抜こう。