ルカによる福音書12:1~34節 2024.11.3
小田弘平
イエスが「人間の弱さ」を弟子に教えるという形を用いて、聖書の読者である私たちに人間の生き方を教えている。テキストの編集者ルカはあなたはどうかと問いかけている。
私はよくよく考えれば、本音とたてまえを区別して生きていると思う。あの人は立派な人だと見られたい気持ちが内心ある。主イエスはこのことを弟子たちに「偽善」という言葉を使って教えられた。
また「権力者の前に引き出されても、おどおどするな。どこまでも神の命令に従え。そのために聖霊という助け手があなたには付いている」と言われる。現代の信徒の弱さはまだ信仰ゆえの受難を受けていないことにある。
さらにまた現代人は財産を貯えることに最大の幸福感を覚える。ローンの返済を考えていると金さえあればとつい思ってしまう。しかしイエスの教えはそうで
はない。「神の前に豊かになることを最大の目的にせよ」と言われる。これは生き方の大転換である。そうしてイエスはあなたの富を地上に積むのではなく、天に積めと言われる。「億ション」を手に入れるよりもっと神の光が輝く生きかたを求めよと主イエスは言われる。
ではどのような生き方を選べばよいのか。あなたの羅針盤を「ただ、神の国を求めよ」に設定せよ。そうすれば「あなたが必要な物はすべて与えられる」と言われる。これほど確かな羅針盤はない。そうして「尽きることのない富を天に積もう」。この富には「盗人も近寄らず、虫も悔い現わさない」。地上に富を積む者は盗人が心配で夜もおちおち眠れない。ここにはイエスのユーモアを感じる。「あなたがたの富のあるところに、あなた方の心もある」とイエスは言われる。
あなたはどの富を選びますかとイエスは問うておられる。厳しい判断をイエスは迫っておられる。神の国を求める者には富は尽きることがなく、真の金持ちにされる。実際にそのような方はおられる。聖書の言葉は真実だ。