マタイによる福音書8:18-34        2023.26

西澤 正文

テーマ:向こう岸へ行くように命じられた(18)

 8章の前半(1~17節)は、3つの癒しの奇蹟が描かれたが、18節からは一転して苦難の世界へ移ります。「向こう岸へ行くように」とは、苦難の世界へ進もうの誘いです。

 イエスは「人の子には枕する所もない」と言われたことは、これからは、ゆっくり休める

ような生活はできないという予告でもありました。イエスが「『死んでいる者たち』に使者を葬らせなさい」(22)と言っていますが、その「死んでいる者たち」とは、日常生活の用事に埋没している人達、日常生活に追われている人たちを指しています。

 イエスは「私に従いなさい」といわれ、向こう岸に行くため弟子たちも舟に乗り込みました。そして直ぐ嵐に直面しました。イエスに従うとは、平穏無事な生活でないことを暗示しています。弟子たちは必死になって「主よ、助けてください」と叫びました。呼びかけする

 

とイエスは起き上がり、風と湖をお叱りになると、すっかり治まりました。何とか向こう岸の町・ガラタに着けば、イエスは悪霊達から「我々を追い出すなら豚の中に送ってくれ」と頼まれ、2人を救うため、豚の中に悪霊を送りました。すると、町の人々はイエスの神秘的な力を恐れ、また、多くの豚が死ぬ被害を受け、「この町から出て行ってほしい」と願った。これは、「人の子には枕する所もない」言葉に繋がり、イエスの苦難の生活を実証しました。

▢まとめとして

 イエスの御言葉の力、御業をどう受け止め、受け入れるか…イエスに近づく人となるのか、遠のく人となるのか。驚き、感動を繰り返しつつ、ただ漠然と聖書を一冊の本として読むのか、私自身に語る御言葉として、イエスに命を委ねさらなる信仰へ進むのか…。神の言葉(聖書の言葉)を自分に語られた言葉としてしっかり受け止め生活していきたいと思います。