コリントの信徒への手紙Ⅰ 4章           2024.1.14

                                                                                                                              小田 弘平

 パウロは紀元53年頃、エフェソからパウロが福音を宣べ伝えたコリントの友に長い手紙を書いた。コリント教会の信徒の群れが分裂していることを聞いたためだ。分裂の原因はパウロがコリントを去ったのち、ギリシャ的教養を身につけたアポロがコリントに来て福音を説いた。コリント教会内の知識-知恵を求めるグループはアポロの語る福音に魅せられた。そのためパウロが説いたキリストの十字架と復活によって建てられたコリント教会の土台が崩れ、教会が分裂する危機に陥った。

  パウロはすぐにもコリントに行きたかったが、手紙を書いた。パウロが熱心に伝えた福音に立ちかえることを求めた。キリストの十字架と復活の信仰に忠実であれと祈りを込めて書いたのだ。パウロは知恵や賢さで福音を語ることの危険性をよく知っていた。これらはキリストの福音には無意味である。た。そして「あなたが勧告します。皆勝手なことを言わず、仲たがいせず、心を一つにし、思いを一つして、固く結び合いなさい」と使徒の立場から書く。

 

 しかしパウロには恐れがあった。パウロが伝えた福音が本当にイエス・キリストの福音に適っているかを主によって裁かれる時が来る(再臨)。それでもパウロはコリント教会を分裂させるグループを使徒として糾弾する。パウロはテント職人として働きながら(自活)福音を伝えた。世の人はパウロを「世の屑、すべてのものの滓」と見下した。

  パウロは最後にきっぱり言う。「わたしに倣う者になりなさい」と。なぜパウロはコリントの信徒たちにここまで言うのだろうか。コリントの信徒たちはわが子であるという。福音を通し、「キリスト・イエスにおいてわたしがあなたがたを(自分の子として)もうけた」のだと。コリントの信徒は自分が手塩にかけた子であり、その信徒が騙されて十字架と復活の信仰から離れることは堪えられないことだ。最初の原点に還れとパウロは全身全霊の想いをこめて手紙を書いている。わたしたちはこの手紙を翻訳で読んでいるが、パウロの祈りと涙が見えるではないか。パウロは具体的な生き方をフィリピの信徒への手紙

3章で示している。「兄弟たち、神がキリスト・イエスによってお与えになる賞を得るために、目標を目指して走ることです。私たちの本国は天にあります。」われらもパウロの教えの忠実でありたい。